自動車産業は、自動車やその部品を作る製造メーカーだけで売上100兆円、労働者500万人からなる巨大産業です。就労人口の8%以上を占めており、今すでに自動車業界に身を置いている方やこれから働くことになる可能性は十分にあります。

世間では社内公用語を英語にするなど、英語化が最近のはやりになっていますが、自動車業界ではどんなものなのか、自動車業界に身を置く一人の目線から書いていきたいと思います。



世の中で英語って必要になっているの?

すでに働いている方は、どんな感じかわかっていると思いますが、未就職の方もいるかと思いますので、まずはここから話していきたいと思います。

結論から言ってしまえば、思っているほど英語って使わない・・・っていうのが、今働いている方々の率直な感想ではないでしょうか。

一部のグローバル企業や社内公用語を英語にしている会社を除けば、個人向け、法人向けに関わらずお客さんは日本人です。当然必要になるのは日本語であって、英語は必要ありません。

海外の人とコミュニケーションをとる必要が強いられるシーンというのはほとんどないです。

もし、あったとしても英語ができる人にその仕事が回っていくので、「自分が英語で何かやらなければならない」といった状況はあまり起こらないでしょう。

実際に、就職時点で高い英語のスキルが求められることはほとんどありません。これは一流企業と言われるような企業でも同じです。現時点で、英語の勉強を絶対にしないといけないとは思いません。

 

じゃあ、自動車業界ではどんな状況?

自動車業界では、グローバル化が進んでいますので、英語は絶対に必要です・・・、ってそんなわけありません。

自動車業界であっても、ほとんどの方は英語は必要ないと思います。

そもそも、グローバル化しているのは自動車メーカーと一部の大きな部品メーカーだけなのが現状です。

しかも、会社がグローバル化していても、英語を使うシーンは多くありません。

まず、工場で働いている方は、イメージ通り日本にいて英語が必要になることはありません。

一部の方は、生産指導等で海外に行くケースがありますが、そこで必要になるのは英語ではなく現地の言葉です。仮に、英語圏の向上に支援にいっているケースでも、通訳を介してコミュニケーションをとるのが業界の一般常識ですので、英語が話せなくて困るということはないです。(当然、生活レベルでは少しは話せないと困ると思いますが・・・)

では、生産管理や営業、購買など、総合職で入っている人はどうでしょうか。

イメージで言えば、この人たちが英語を必要とされているかと思いますが、実際にはあまり使いません。

確かに、書類が英語だと言うことはたまにありますが、テンプレートですしそこに書き込む内容は日本語でやってしまうことが大半です。海外とコミュニケーションをとることもありますが、電話の先にいるのは日本から出向している日本人ということも多いです。

アジア圏であれば中国など、現地の人が日本語を話せてしまうということも多いです。

とまあ、英語ができなくてもなんとかなってしまいます。

本当に英語は必要無いの?

ここまで、英語に対してネガティブなことを書き続けて、英語の勉強を頑張っている方に水を差しておりますが、私は英語が苦手で日本語原理主義者というわけではありません。

実は私自身、海外出向中の身であり、英語をバリバリ使って仕事をしています。

ということで、ここからは、「英語は勉強しておいた方がいい」と言っている方たちの観点から書いていきます。

今まで書いてきた通り、英語はあまり自動車産業では使いませんが、英語ができるというのは物凄いチャンスをつかむことに繋がります。

日本の企業においても、現地化が進んでおり、工場を海外に建てるのが活発になっています。生産拠点だけにとどまらず、設計や調達、営業など本社的な仕事も海外に移ってきています。

こうなってくると、コミュニケーションが取れないと前に進めなくなってしまうので、海外とつながる仕事は英語ができる人に集まっていきます。

日本市場が縮小傾向にあり、こういった仕事が社内でも非常に重要性の高い仕事であり、それに携わる人も必然的に評価されます。

逆に、英語ができない人はグローバルな仕事に携わることができず、自然と出世路線からフェードアウトしていきます。

TOEICが○○点以上ではないと海外出張禁止や基幹職への登用ができなかったりなど、ルールを設けている会社も多少なりあります。おじさんになってから、英語を必死で勉強している人も多いのではないでしょうか。

おそらく、自動車業界において表向きに英語が必要になることはありませんが、幹部になれるのは英語のできる人が多数を占めることになっていくと思われます。

 

英語でどんな仕事しているの?

ここまで、英語は使わないと協調してきて、急に英語ができれば出世できると言っても実際にどんな仕事をするのか気になるところだと思います。

上述したように、生産拠点はもちろん、調達や営業などの本社機能も海外に移っています。

例えば、営業の仕事で考えれば、仕事仲間となる、他の営業スタッフは現地人です。そして、交渉相手も現地人です。ここで使われる言語は英語です。

製品仕様の話や価格契約の話など、タフな話を英語でやっていかなければなりません。

当然、メールも英語で飛び交います。やり取りする文書ももちろん英語です。

英語圏にいれば、通訳もいるでしょうが、基本的には現地語の通訳がいても英語の通訳を用意していることはありません。そもそも、通訳を介していては時間がかかってしょうがないです。

自動車業界への就職を希望している方も、すでに従事している方も、もし何かしようと思っているなら英語の勉強を始めてみましょう。