トランスミッション



自動車部品と言えば、エンジンとトランスミッションです。

この2つは、特に自動車を複雑かつ高機能にしている要因と言えます。

トランスミッションはエンジンのトルクを最大限かつ柔軟に伝達するために欠かすことのできない機構です。

トランスミッションが無ければ、100km以上での高速走行と、急発進のような機敏な動きを両立することは不可能であり、自動車の要を担う部品です。

トランスミッションは、大きく5つで分類できます。

①MT(マニュアルトランスミッション)
②AMT(オートマチックマニュアルトランスミッション)
③AT(オートマチックトランスミッション)
④CVT(連続可変トランスミッション)
⑤DCT(デュアルクラッチトランスミッション)

MT(マニュアルトランスミッション)

最古のトランスミッションと言われます。
自動車初期は、この方式のトランスミッションが主流でした。
エンジンとダイレクトに接続することで、トルクを直接タイヤに伝えることができるので、原始的ながら今でも燃費が良いトランスミッションと考えられています。
ただし、停止、発進の多い日本のような地域では、操作が煩雑かつ燃費も悪くなります。
現在は、コストの安さから新興国を中心に活躍しています。

AMT(オートマチックマニュアルトランスミッション)

マニュアルトランスミッションをベースに、自動変速機能を追加したトランスミッションです。
最大の特徴は、AT同様に自動変速ながら、MTベースのため軽量で安価であるという点です。
MTを自動化しているだけなので、変速時にぎこちなさが残ります。しかし、安定走行時はトルクを直接タイヤに伝えることができるので燃費性能は抜群です。
現在は、MTの代替えとして欧州の大衆車で用いられています。

AT(オートマチックトランスミッション)

マニュアルトランスミッションのみであった時代に、変速を自動化することで操作を簡素化した画期的なトランスミッションです。
トルクコンバーターを介すことで、より繊細にトルク伝達可能としており、MTの課題であった停止、発進の多い日本のような地域でも燃費性能を落とさずに走行可能としています。
また、近年は多段化が進んでおり、より細かく最適な変速を実現することで、CVTやDCTにも引けを取らない燃費性能を実現しています。

CVT(連続可変トランスミッション)

無段変速のトランスミッションです。
摩擦によってトルクを伝達する構造となっており、変速しないためトランスミッションの課題であった変速によるロスを克服し、最も燃費性能の高いトランスミッションと言われる。
停止、発進の多い日本のような地域ではその性能が高く評価されており研究開発が進められた関係で、日本国内を中心に日本車での採用が圧倒的に多数。

DCT(デュアルクラッチトランスミッション)

AMT(オートマチックマニュアルトランスミッション)の進化系です。
AMTは一つのクラッチで変速していましたが、DCTは2つのクラッチを交互に使い変速していきます。
これにより、次の変速に備えて使っていないクラッチは事前に回転数を合わせておけるので、すぐに次に変速できます。他のトランスミッションと比べて圧倒的なスピードでの変速です。
抜群の運転性能があり、かつ燃費効率も高いため、トランスミッションの究極系と考える人も多いですが、まだ製造コストが高いため高級車での適応が中心です。



トランスミッションの種類

トランスミッションの種類や特徴をまとめていきます。

名称種類強み弱み
MT5~7速・軽量かつ安価
・安定走行時に燃費が良い
・操作が煩雑
・変速多用時に燃費が悪い
AMT4~6速・軽量かつ安価
・安定走行時に燃費が良い
・変速時にぎこちないフィーリング
・変速多用時に燃費が悪い
AT4~10速・コストパフォーマンスが良い・定走行時に燃費が悪い
CVT無段変速・コストパフォーマンスが良い
・変速多用時に燃費が良い
・定走行時に燃費が悪い
DCT5~7速・安定走行時に燃費が良い・コストが高い

また、最近の各トレンドは以下のようになります。

MTは新興国が中心で、一部の運転好き向けに欧州などで採用される
AMTは欧州メーカーの大衆車が中心となる
ATは米国が中心。特に米系メーカーでの採用が多い
CVTは日本を中心に、海外では日系メーカーが採用している
DCTは欧州メーカーが中心、特に高級車向けはほぼDCTを採用している

トランスミッションと言っても、これだけの種類があります。

各社がしのぎを削る開発要素であり、今後どのように変化していくのかも注視していく必要があります。